教育・介護における身体性拡張型AR-IOシステム「AIReE」の開発と評価

Submitted 31 Oct 2025

近年、GIGAスクール構想などにより、教育現場では幼少期からタブレット端末を利用した学習が一般化している。しかし、これに伴い、視力の低下や集中力・協働性の欠如などの問題が報告されている。筆者の身近でも、幼児期からタブレットを用いた反復型デジタルドリルを行っていた子どもたちが近視を発症する事例を実際に目の当たりにした。こうした現象は「デジタル学習のペイン」として、教育現場における新たな社会的課題となっている。本研究では、これらの課題を解決するため、身体行為とデジタル操作を統合した新しい入出力システム「AIReE:Augmented Interactive Real-time Rendering for Education(エアリー)」を提案する。AIReEは、空中で手を動かして描く身体的な操作を、カメラ映像と拡張現実描画によってリアルタイムに反映するAR-IOシステムである。ユーザ自身の身体が画面上に映り、その動作が描画として可視化されることで、従来のタッチ操作やキーボード入力では得られなかった身体的フィードバックを提供する。本稿では「AIReE」のシステムアーキテクチャ、性能評価、および教育や展示の文脈から得られた実用的なフィードバックを紹介する。その結果、AIReEは、デジタル学習における過剰な画面依存を補完し、身体性・対話性・創造性を取り戻す教育支援基盤として、さらにリハビリテーション支援にも新たなパラダイムを提示する可能性が示唆された。