日本の医療論文における「マインドフルネス」と関連する概念の分析 その2

Submitted 21 Jun 2021

本稿では,BERTと呼ばれる⼤規模ニューラルネットワークによる,意味論的なテキスト処理を,マインドフルネスとタイトルにある医療系論⽂の⾃動分類と,意味論的処理に試⽤した.先の頻度主義的分析と同じ,医療関係834論⽂のタイトルをBERTへの⼊⼒とした.この⼊⼒によって計算される,768次元の圧縮された内部表象ベクトルを,階層的クラスター分析で分析した.先の頻度主義的分析では,単語同⼠の共起確率により,単語をマッピングし分類したが,この分析で分類されるのは論⽂のタイトルである.その結果,5つの応⽤の⽅向性を⾒出すことができた.それらは,1.広がる⼀般的な応⽤:ストレス軽減,アンガーマネジメント, うつ予防,メンタルヘルス,レジリエンス,ボジティビティ, 2.新たな応⽤:医療従事者向け,グリーフケア,リハビリテーションなど, 3.以前からある⼼理療法との合わせ技:森⽥療法,認知⾏動療法, ACT, 4. 臨床応⽤例:慢性疼痛などの難治症状への応⽤, 5. ⽣理⼼理学,脳機能計測による検証:fMRI, NIRSによる計測であった.〇〇に及ぼす影響(あるいは効果)といった⽂型の類似性による分類結果も得られた.さらに,同じ⼿法でアブストラクトを処理すると,当事者としての主観的な報告/治療への実践報告/客観的レビューの⽂章スタイルで⾃動的に分類傾向が⾒られた.意味処理に基づく⽂献の⾃動分類,レコメンデーションへの応⽤も期待できる.